習政権下の中国で「結婚離れ」の深刻度 合同結婚式に約1万人 新婦側が持ち家を求めることも「アンタ、どこにマンション持ってるの?」
漢服を着用して結婚イベントに参加するカップルたち=8月10日、中国河南省洛陽市(共同)中国で先月、政府や女性団体などが主催する合同結婚式が開かれた。北京のメイン会場と約50の会場をオンラインでつなぎ、5000組約1万人の男女が中国の伝統衣装などに身を包んで参加した。これまでに例のない大規模な催しとなった。
合同結婚式というと、旧統一教会を思い出すが、こうした式典を開催したのは、中国が抱える問題が関わっている。中国もこういうことをしなければならないぐらい、結婚する若者が少なくなっているのだ。
中国の昨年の婚姻件数は、ピークだった2013年の約1350万組から約770万組と半減している。今年の上半期も前年に比べて1割以上減少している。
中国では新郎が新婦に渡す結納金が高騰、数千万円になるケースもある。景気低迷も結婚離れを加速している。
結婚式自体にもカネがかかる。2人で高価な日本の着物を着こんだり、欧州などの民族衣装を着飾って写真を撮り、招待客にアルバムにして配る。このアルバムを作るだけでもウン百万円もかかる。
さらに結婚の条件として新婦側が新郎側に持ち家を求めることも多い。女性の方が「アンタ、どこにマンション持ってるの?」と強気で聞いてくる。
長く続いた一人っ子政策時代、中国の男子を尊ぶ価値観によって、性別判定検査で女子と分かったら人工中絶するケースが横行した。で、男が圧倒的に多くなった。こういった世代の女性が20代後半から30代になってくると、結婚するにも引く手あまた。女性の方は「マンションは?」に加えて、「邪魔な親はついてこないでしょうね」とか、「(アリペイの)ゴマ信用(=信用力)で何点?」などと聞いてくる。実際、合コンの出席資格をゴマ信用で800点以上と制限しているところもあるくらいだ。
ま、日本でもこういうことはあるのだが、中国の場合はもっと露骨だ。結婚するときも、結婚後も、女性の言いなり。カネがかかることに加え、こういうことも嫌がって、適齢期の男たちは結婚をためらっている。
今回の合同結婚式の主催者は「高額な結納金という悪しき習慣を捨てよう」と簡素でカネのかからない挙式をアピールしていた。この合同結婚式の様子を国営の新華社通信や中央テレビ(CCTV)が詳しく伝え、結婚離れを食い止めようとしている。
しかし、当の若者たちは結婚をあきらめている。こうして中国では日本を上回るスピードで少子高齢化が進んでいる。
最近、中国で私の著書『低欲望社会』がよく売れている。ZOOMによる講演依頼もほとんどがこのテーマだ。金利がほとんどつかないのに多額な貯金が眠り、それが社会を潤すことはないという日本独特の経済現象を、私は低欲望社会と指摘した。これまた日本を上回る速度で中国も低欲望社会を迎えつつある。
本が売れるのはありがたいのだが、貪欲でそれ行けドンドンで躍進した中国らしさが失われているのは、ちょっと恐ろしい話。これ、中国にとって非常にシリアスな問題なのだ。締め付けるだけの習近平氏ではなく、改革開放を鼓舞した鄧小平的な指導者が必要なのかもしれない。