育毛剤のはずが…大ヒット洗口液 長田のうどん屋おかみ(1/2ページ)2010年3月8日
野草エキスを抽出し、歯周病菌を減らす洗口液を開発した竹内洋子さん(左)と長女の園絵さん=神戸市長田区、西畑志朗撮影
毛はえ薬を作ろうと薬草酒を作る感覚で身近な植物を酒や油に漬けた実験が、ひょんな形で実った。うどん屋のおかみが開発した歯周病菌を減らす洗口液が、2年間で約5万本を売るヒット商品になっている。(阿久沢悦子)
開発したのは、神戸市長田区でうどん屋「寿」を経営する竹内洋子さん(54)。
きっかけは、15年前の阪神大震災。義母が自宅の下敷きになって亡くなり、ショックを受けた義父を元気づけるにはどうしたらいいかと考え、「お父さんは頭が薄いから、育毛剤ができたら喜ぶんちゃう」と研究を始めた。
しかし、化学や薬学の知識は全くない。長い毛が生えているネコヤナギ、トウモロコシなどの植物を選び、ホホバ油やオリーブ油に漬けた。約500種類あるビンには「雑草」のラベルも。「名前なんかわかれへん。そこらへんに生えとった草やねん」
自分や、夫の利幸さん(58)、長女の園絵さん(25)が実験台になったが、効果があがらない。逆に皮膚がかぶれたり、腫れたりしたこともあった。義父は98年に亡くなったが、実験は続けた。
2002年ごろ、洋子さんは歯周病がひどくなった。歯科医から「このままでは総入れ歯になる」と告げられた。まだ40代。入れ歯は嫌だった。そんなとき、寝室の一角を占めていたビンが目に留まり、「この中に効くもんがあるかもしれん」と思った。
家族は「口の中に入れるのはやめて」と反対したが、一つひとつ試していった。そのなかで、仏花によく使われるコウヤマキ(高野槙)の葉をホワイトリカーに浸した液を歯茎に塗ったところ、歯周病の症状が劇的によくなったという。
歯科医の勧めで、神戸薬科大で液を調べてもらった結果、動物実験で毒性は否定された。さらに、大阪歯科大での実験で、歯周病菌、虫歯菌が激減するなど抗菌活性が認められたという。
07年に健康食品製造会社に依頼して商品を開発。会社「Y&S」を立ち上げ、洗口液と歯磨きジェルを「デンタアプローチ」の商品名で、関西圏を中心に東急ハンズなどで売り出した。
薬事法上の「化粧品」の扱いで、洗口液は約100回分の100ミリリットルが1200円、歯磨きジェルは56グラム1500円。2月初めまでに両方で5万本が売れたという。
園絵さんは「ただの変人やと思ってたけど、お母さん、すごいわ」。利幸さんも「花見に行って花びらばっかり拾っとるようなけったいな嫁はんやけど、ようやり遂げた」と感心する。
しかし、洋子さんの実験は、まだ終わらない。「毛はえ薬はできてない。初志貫徹や」と笑った。
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201003080047.html
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