日本、敗れるもオランダより高評価 仏『レキップ』紙の日本評
6月21日 1時30分配信(スポーツナビ)
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20日に仏『レキップ』紙が掲載した19日のオランダ対日本の試合採点で、敗れた日本代表選手の採点合計が、勝ったオランダ代表選手の合計点を上回るという珍しい現象が見られた。オランダの合計点57に対し、日本の採点合計は63だった。
この採点で最高点を取ったのは、センターバックの田中マルクス闘莉王で7点。採点は10点満点となっているが、『レキップ』紙の基準では、ハットトリックでも達成しない限り滅多に7点以上をつけないことで知られ、7点はこの試合唯一の得点者だったウェスレイ・スナイデルと同じ点数である。闘莉王を「空中戦においてこの上なく堂々としていた」とたたえた同紙は、闘莉王の相棒の中澤佑二、また攻守に奮闘した長友佑都など、ディフェンスライン全体を高く評価。テレビの解説でも闘莉王、中澤へ称賛の言葉が解説者の口から頻繁に聞かれた。
反対に一番評価が低かったのが、GK川島永嗣で3点だった。『レキップ』紙は、良いプレー以上に「得点」「アシスト」、また「相手に決勝点を許すミス」など、勝負を分ける要素を採点に反映させる傾向がある。川島が終盤に見せたいくつかの重要なセーブをたたえながらも、スナイデルのシュートの軌道に入り込み、体の正面に近い位置で手に当てながらもボールを後ろにそらしてしまった点に注目し、「止められたゴールを止め損ねた」のが敗戦の原因としたようだ。
一方、中盤はほぼ全員が6点を獲得。6点は同紙の評価では平均を上回る好得点。シュート数の目立った大久保嘉人については、ゴールを狙うアグレッシブな姿勢を評価する特記がついた。テレビの分析番組も大久保の熱意をたたえたが、同時に良い位置に仲間がいた場面でも切り込んで自らシュートし、それを決め損ねたことから、「ちょっとエゴイスト?」との声も。また、最初から最後まで走り続けた長谷部誠のスタミナと献身ぶりにも、フランスメディアから拍手が送られた。
中盤の中で唯一7点を取ったのが松井大輔だった。アシストを記録した第1戦のカメルーン戦と比べ、『レキップ』紙好みの「結果につながる」アクションが1つ欠け、また『レキップ』紙は日ごろから松井の採点に厳しい傾向があるため、第1戦より高い点がついたことには驚かされた。この日は「なぜ松井を交代させた?」という小記事までが掲載されている。
今季、2009−10シーズン、フランス・リーグ1では「まあまあ良い」という程度の出来だった松井だが、オランダ戦を担当したジェローム・ルフォコニエ記者は「昨季、松井がこのレベルでプレーしていたら、グルノーブルは1部残留できていたに違いない。日本代表の技術力の高さが、松井の力を著しく増大させたのだ」と記述し、周りの選手の技術レベルの高さゆえ、松井の力がより生かされていると分析。
トラップを浮かせながらも、それをダイレクトでとらえて枠内にシュートした38分のプレーを例に挙げ、「日本の攻撃に“ひらめき”を与えた選手の筆頭だった」とした。そのため「なぜ松井を交代させた?」という記事が出たわけだが、反対にテレビは、後半やや突破力が弱まった松井を交代させたのは「理にかなったこと」と解説しており、フランス国内でも意見が分かれている。
また、「スナイデルの個人的能力と天才のひらめきが勝負を分けた」と考える『レキップ』紙は、オランダの他選手のプレーを本来の実力を下回るものと見なしており、「対戦相手に本来のプレーをさせない能力、また攻撃のスピードゆえ、おそらく日本は引き分けを手に入れるに値した」と書いている。テレビの技術分析では、一貫してボール保持者を2人で挟みにいき、常に数的優位性を作り続けた日本の守備的な組織力に称賛の声が集まり、「このような絶え間ない移動で延々と数的優位性を作り続けるには、相手の2倍は走らなければならない。スナイデルのように1人で試合の行方を変える選手はいないが、つぎこむ努力、そして何より組織力という面で目覚しいものがある」と評価した。
敗れたにもかかわらず、フランスメディアの日本評の高さの理由には、「個々の能力が高いオランダが勝って当然」と思われていたところに、知名度が低く、やや格下と見ていた日本が「予想外によく抵抗した」という驚きの要素が絡んでいたこともあるだろう。サッカー自体が目新しい米国の『ニューヨーク・タイムズ』などは、スナイデルの素晴らしさばかりに着眼し、日本については川島のミスにしか触れていなかった。目のつけどころは国、人によって違うものだが、このワールドカップでの日本代表が、世界のいくつかの国に好印象を与えたことだけは間違いなさそうだ。
-Kayako Kimura from France-
http://live.southafrica2010.yahoo.co.jp/news/ndetail/20100621-00000007-spnavi-socc