中国、過剰設備廃棄を命令 セメントなど2000社に
2010/8/9 22:03
【北京=高橋哲史】中国工業情報化省は9日までに、過剰な生産と温暖化ガスの排出が問題になっているセメントなど18業種の2087社に対し、老朽化した生産設備を9月末までに廃棄するよう命じた。応じなければ新規融資を銀行にやめさせたり、電力の供給停止を検討したりするなど厳しい処分で臨む。中国政府は生産能力の過剰が経済の需給関係を崩すと危機感を強めており、行政指導を通じて設備の強制的な削減に乗り出した。
▼設備廃棄命令が出た主な業種 セメント 762社
製紙 279社
染色加工 201社
コークス 192社
製鉄 175社
鉄合金 143社
製革 84社
同種の命令は数年前からあったが、対象は数百社程度にとどまり、今回は過去最大級とみられる。18業種には製紙や製鉄などが含む。いずれも旧来型の生産設備が多く、温暖化ガスの排出も目立っていた。このため中国政府は老朽化した設備の早期の廃棄と、温暖化ガスの排出量が少ない最新設備への切り替えを促してきた。
設備廃棄の命令が出た対象の大部分が中小の民間企業で、所在する省も公表された。一方で国有の大手企業はほとんど含まれていないもようだ。社数全体の約3分の1を占めるセメントの場合、世界的な金融危機を受けた景気刺激策に伴う公共事業の拡大で2009年に需要が急増。特需を狙い中小の工場が乱立し、過剰な生産に拍車がかかった面もある。
産業政策を担当する工業情報化省は、9月末までの設備廃棄に応じない企業に対して、新規の銀行融資を停止するほか、新たな生産の許可を出さないなどの措置を取るとしている。それでも生産をやめない企業の工場には電力の供給を止めるといった強硬手段も検討する。「兵糧攻め」のような手法で、企業に命令を守らせる構えだ。
中国政府がこれほど強い措置に出るのは、従来の過剰生産の抑制策が十分に効果を発揮してこなかった事情がある。政府は昨年10月に鉄鋼やセメントなど6業種を「過剰生産業種」に指定。銀行にこれらの業種への融資を絞るよう指導を強めてきた。しかし銀行は貸し出しの規模拡大を巡り激しく競り合い、問題業種への融資はあまり減っていないのが実情だ。
市場経済化を進める中国だが、市場原理となじまない行政指導はなお幅をきかせている。07年秋に中国人民銀行(中央銀行)が銀行融資の総量規制に動いた際は外資系の銀行も対象になり、多くの日系企業が影響を受けた。突然の政策変更を含め、外資系企業も今回のような行政の姿勢と無縁ではいられない。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE2EBE2E1828DE2EBE2EAE0E2E3E29C9CEAE2E2E2