2010年10月23日 7時4分
22日開幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米国
が「世界経済の不均衡是正」を名目に経常収支の黒字や赤字を対国内総生産
(GDP)比で4%以内に収める数値目標をぶち上げたのは、割安な人民元をテ
コに輸出を増やす中国に人民元切り上げなど方針転換を迫るためだ。高成長
が続く中国と対照的に米景気は低迷。11月に中間選挙を控える米議会では
「中国の輸出攻勢が米雇用減少の元凶」と対中批判が過熱する。そんな空気を
背景にオバマ政権は対中強硬策に出たが、中国の猛反発は必至だ。【坂井隆
之、慶州(韓国南部)柳原美砂子】
「不均衡是正策として、各国が経常収支の黒字幅、赤字幅を4%以内に縮小
する数値目標について、意見を聞かせてほしい」--。G20初日の会合は、議
長国韓国と周到に打ち合わせたガイトナー米財務長官の中国を念頭に置いた
提案で幕を開けた。この日の討議は世界経済金融情勢の評価がテーマだった
が、野田佳彦財務相らによると、米国の提案で議論は数値目標導入の是非に
終始した。
「不均衡の是正」は、08年秋のリーマン・ショック後の世界経済の持続的な回
復を目指して協調姿勢を取ってきたG20の大きな課題。金融危機前は、旺盛な
個人消費を背景にモノを大量に輸入する米国の経常赤字が拡大し、中国や日
本は米国向け輸出で経常黒字を積み上げてきたことが不均衡を膨らませた。
このため、金融危機で米国の個人消費が冷え込むと、黒字国の輸出が急減
し、世界同時不況の引き金となった。この反省から、09年9月に米ピッツバー
グで開かれたG20首脳会議(サミット)では、経常黒字国が内需拡大を図り、米
国など経常赤字国は貯蓄率向上など不均衡是正に取り組むことで一致した。し
かし、金融危機から2年がたった今も中国は割安な人民元相場をテコに輸出攻
勢で高い成長を続ける。一方、米国は景気の本格回復が遅れ、失業率は10%
近くに高止まりしたままで、先行きも減速懸念が広がる。
そんな状況に米議会では「中国が不当に人民元を割安にして輸出を伸ばし、
米国内の雇用を奪っている」との批判が拡大。対中制裁法案さえ成立しそうな
勢いだ。このため、オバマ大統領やガイトナー長官は中国に対し、人民元相場
を迅速かつ大幅に切り上げるように再三迫ってきたが、中国は「大幅な人民元
切り上げは世界経済に惨事を招く」(温家宝首相)など要求に応じる気配を見せ
ない。
今回、ガイトナー長官が経常収支を基準にした数値目標を突然持ち出したの
は、正面から人民元切り上げを求めても動かない中国を、不均衡の是正という
G20の「大義名分」によって揺さぶり、国際的な圧力にさらして人民元切り上げ
を迫る思惑がある。
米国は、G20直前に急きょ開催された先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議
で、経常収支の4%目標案を日欧など各国に提示するなど、中国包囲網作りさ
え狙った模様だ。また米国は、自国の通貨高や投機資金の流入抑制に介入を
続ける韓国やブラジルを「柔軟な為替相場を持つ国」として、中国とは区別して対応。ターゲットを中国に絞り込む姿勢も見せて、数値目標導入の実現を働き
かけている。
米国の提案に対し、カナダのフレアティ財務相は「有益だ」と支持するなど、ガ
イトナー長官の周到な根回しは一定の成果をあげている。ただ、先進国の中で
も、ドイツは「計画経済への後退」などと不快感を示す。また、野田財務相は数
値目標の厳格な達成を義務付けることには慎重な姿勢で、先進国間でも足並
みはそろいきっていない。
◇「外圧」への反発確実
米国の「数値目標」提案に、中国は今のところ明確な反応を示していないが、
23日の会合で猛反発するのは確実と見られる。中国の経常収支は10年は対
GDP比4・7%だが、今後GDPの伸びが縮小するとみられ、貿易黒字が今のペ
ースで伸び続ければ15年には7・8%まで拡大する見通し。目標の達成には、
人民元の大幅切り上げや、貿易障壁の撤廃、内需の振興などの改革を迫られ
る。
だが、人民元相場を急激に引き上げれば、景気が失速するリスクがある。さら
に、競争力の弱い内陸部の産業に打撃を与え、都市部と内陸部の格差問題が
顕在化すれば、社会の不安定化にもつながりかねないと中国政府は見ている。
85年に、巨額の対米貿易黒字への批判を受けて、日本は日米欧のドル売り
協調介入による「プラザ合意」を受け入れた。それは急速な円高につながり、バ
ブル経済を膨らませる要因ともなった。中国は「プラザ合意は日本のバブル景
気を生み、その崩壊後の長期低迷を招いた失敗例」とみており、米国がいくら
強硬姿勢を示しても「急激な人民元引き上げなど外圧による改革は受け入れな
い」(国際金融筋)との見方が強い。
WONも安すぎるから、1YEN=10WONに戻そう。
もう韓国旅行に行くことはないだろう。