韓国サムスン、異例の3代世襲へ 「未来戦略室」を新設
産経新聞 12月5日(日)22時21分配信
【ソウル=加藤達也】韓国最大の財閥「サムスングループ」は、中核企業である「サムスン電子」の社長に李健煕(イ・ゴンヒ)グループ会長(68)の長 男、李在鎔(イ・ジェヨン)副社長(42)を今月、昇格させた。同時に経営参謀組織としてグループ内に「未来戦略室」を開設、いずれは企業群を率いる若い オーナーを支える仕組みも整えた。グローバル企業としては異例の“3代世襲”体制を目指すサムスンの経営に注目が集まっている。今回の人事は、迅速な意思決定と、参謀組織による大胆で緻密な投資戦略を同時に備え、新興国の追い上げなどで競争が激しいビジネス環境の中で生き残るための、サムスンの世界戦略とみることができる。
3代世襲の動きについては一時、韓国内で批判も出たが、サムスンが「韓国経済の象徴といえる存在」(外交通商省関係者)になったいま、注目点は、新体制で今後どのように事業展開していくかに移っている。
李在鎔氏はソウル大卒。日本の慶応大大学院などで経営を学び、1991年にサムスンに入社した後は主に企画部門で企業経営などの修業を積んだ。これまで にソニーとの液晶パネル生産部門の合弁事業を立ち上げるなど、半導体世界シェア4割というサムスン電子の経営に貢献してきた。
しかし、徹底した成果主義と合理的経営で知られるサムスンでは、オーナー一族といえども社長就任後は手腕が厳しく問われる。このため、韓国では「成果を求め、新規事業を中心に積極的な経営戦術に打って出るのではないか」とみる財界人が多い。
その経営を支える存在となる「未来戦略室」は、グループの経営政策を調整する「社長団協議会」の直下に置かれる。
サムスングループにはもともと、グループ全体の頭脳集団「戦略企画室」があったが、不正資金事件の遠因になったとして2008年に解散。全体の調整機能は社長団協議会が引き継いでいた。今後は参謀機能を強化した未来戦略室がグループ経営の中核になるとみられる。
グループ全体で売上高200兆ウォン(約14兆5千億円)を超え、役職員27万人を抱えるグローバル企業に成長したサムスンの創業者は、李在鎔氏の祖父 にあたる李秉●(=吉を2つヨコに並べる)(イ・ビョンチョル)氏だ。早稲田大中退で日本に知己が多く、当初は社是として「日本に学べ」を掲げるほどの知 日派企業だった。李健煕会長も「日本に学ぶべき点は多い」との考えを持っている。