その日、なじみのコーヒー店に入るなり、従業員の若い女性が両手で顔を覆って黙り込んでしまった。何事かと思ったが、紙カップに入ったコーヒーを受け取りながら聞いた言葉に、思わず胸が熱くなった。
「今回の地震では日本の皆さんをお慰めする言葉がありませんが、がんばってください」
いま、韓国は官民挙げて大地震に見舞われた日本を励ましてくれている。政府は「可能な限りの支援」で、メディアは連日の大報道で、企業や自治体、学校、市民団体、韓流スターやスポーツ選手は、義援金や募金を通じた行動で支援の手を差し伸べてくれる。
その結果、在韓マスコミの間では「韓国人は変わった」との話題が上るようになった。武藤正敏大使も朝鮮日報のインタビューに「日本人は韓国を見直すだろう」とコメントしている。
ソウル新聞が「深い哀悼の意を表します」と1面に日本語の見出しをつけた日。新聞売りのおばちゃんが「韓国だっていいところあるんだから」と言った。日本人は韓国人を無条件に嫌っていると思っているのか、ぶっきらぼうな言い方だったが、不快感はなくむしろうれしかった。個々の韓国人は「日本」に対してさまざまな思いを抱えている。だが、それでも「韓国」は、日本人を助けてくれている。
(加藤達也)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110324/kor11032402570000-n1.htm