【時視各角】「化け官帽と悪魔」…内面が空洞の韓国人の悲しい実話
2013年02月01日16時48分
昔、ある木こりが雨宿りのため、放置された瓦の家に入った。 そこではおばけが、かぶれば姿が消える官帽を使ってかくれんぼをしていた。 朝、おばけが去ったところに、官帽が一つ残っていた。 偶然に権能を持つことになった木こりは、官帽を使って他人の物を盗む。 ある日、通行人の煙草の火で官帽の一部が焼けると、その部分に赤い布をあてて使い、悪い行いを続けた。 ついに人々は赤い布切れが行き来すると物がなくなるということを知るようになった。 人々は布切れが現れるのを待ち、一斉に飛び掛って官帽を取ると、木こりの姿が現れた。
説話はここまでにして、リアルストーリーに進む。 「40年前、模範生を憎んだ中学生がいた。 級友をかみそりで脅し、殴って鼻血を出させた。 大人になると、仁川の武力団の行動隊長になった彼は、何度も監房を行き来する。 そして教導所で偶然、聖書の言葉を目にする。 力の限り、見張って、あなたの心を見守れ--。 この悟りに夜通し涙を流した。 聖書を手にするようになった彼は、違う道を歩むことになり、数年後、有名なボランティア王になった。仁川で無料給食所を運営し、「天使牧師」と呼ばれた人(53)のドラマチックな改過遷善記だ。 インターネットで検索すれば、数十件の美談記事が出てくるが、これをまとめたものだ。
2006年に仁川市が作成した彼の功績書には次の通り書かれている。 「国家経済が危機に直面した1998年から東仁川駅広場でホームレス・障害者に無料給食を提供している。 商人から残った野菜を受けて分ける。 病気の高齢者が回復するまで1カ月余り世話をする。 献身的な奉仕者」。
彼が決定的に有名になったのは2005年にある地上波の教養番組に出てからだった。 報道後、仁川市の推薦で、翌年に保健福祉部長官表彰を受けた。 その翌年には別の地上波人気芸能番組に出演した。 「法務部自活機関」と書かれた赤いチョッキを着て、汗を流しながら無料給食をするテレビの中の姿は聖者を思わせた。
2009年にはもう一つの美談が生まれた。 幼い2人の娘を連れて無料給食所を訪れた肢体障害の男性を温かくもてなし、家に何度も訪ねて世話をした。 自分の弟(46)までその家に住ませて問題を処理する。 2人の娘は「おじさん、おじさん」と言いながら懐いている。 数日前に“おばけ官帽”が脱げるまで、彼は忠実な牧師でありボランティア王だった。
兄弟は逮捕され、容疑内容はこうだった。 障害男性に常習的に暴行を加え、政府支援金を奪った。 家に頻繁に行ったのは2人の娘に悪い行為をするためだった。 牧師でもなかった。 法務部は「無料給食所が自活機関に指定されたこともない」と述べた。 このインチキに社会がだまされたのは、2つの化け官帽があったから可能だった。 テレビ出演と長官表彰状を前面に出し、正体を隠して社会福祉界を闊歩した。
表彰を受ける過程を振り返るとあきれる。 常習暴力前科者、偽牧師に検証なく官帽を与えたのだ。 福祉部は「仁川市がスクリーンしたと思っていた」と、仁川市は「検証の主体は福祉部だった」と話した。 両機関とも「マスコミによく紹介されていたので信じた」とも述べた。
幸い、化け官帽の“赤い布切れ”を見つけた人たちがいた。 仁川市東区庁希望福祉支援団の人たちだった。 この人たちは障害男性の2人の娘が放置されるのを見て、集中管理事例として関心を注いだ。 ボランティア王兄弟の暴力を恐れて沈黙した障害者家族は、福祉支援団の相談・支援が続くと口を開き始めた。 福祉支援団のキム・スンヌムさんは「先日、娘から衝撃的な話を聞いて捜査を依頼した」と述べた。
社会・心理学者は、韓国人と韓国社会が、外形は正常だが内面のアイデンティティーは弱い「ピーターパン症候群」にかかっているという。 テレビに出て表彰状を差し出せば万事が解決する。 正体は見ようとしない。 道徳的機制が緩んでいて、心が空っぽの社会で、偶然に化け官帽を得た人は、いくらでも悪魔になれるということだ。
李圭淵(イ・ギュヨン)論説委員
http://japanese.joins.com/article/843/167843.html?servcode=100§code=120&cloc=jp|main|top_news