【江藤詩文の世界鉄道旅】ドイツ鉄道(1)ドイツ版新幹線、まさかの300キロ越え…車掌も苦笑い
2014.04.12

流線型のボディがなかなかおしゃれなドイツ版新幹線ICE【拡大】
274キロ、288キロ、291キロ……。
電光掲示板のスピード表示が、ぐんぐん加速していく。フランクフルトからケルンへ向かう15時25分発のICE628号。ドイツ版新幹線とも称される、ドイツ鉄道が誇る高速列車だ。車両の連結部には、秒刻みで変化する時速の表示が、誇らしげに輝いていた。
ちなみに、先頭車両は運転席のすぐ後ろに客席があり、運転士と同じパノラミックな景観を楽しめる。そんな特等席に座っているにも関わらず、乗客はみな新聞
を読んだりパソコンを開いたり。誰ひとり運転席に注意を払っていないではないか。もったいないなぁ。出入り口からうらやましげにのぞいていると、車掌が検
札にやって来た。
「日本からいらしたのですか。わたしは日本に行き、東京から京都まで新幹線に乗ったことがあります。あれはすばらしい
電車です。しかしドイツのICEも、なかなかいい列車です」と車掌。とくに安全性を重視していて、最高時速300キロまでは安全を保障しています。彼がそ
う言い切ったまさにちょうどそのとき、スピードメーターが最高時速を表示した。なんと302キロ。
最高時速300キロまでしか安全を保
障できないんですよね。いま300キロを超えましたが。思わず尋ねると「運転士によっては、定時運行を守るために、たまに加速し過ぎてしまうことがあるよ
うです。潜在的には時速300キロ以上のスピードを出せる、性能の高い列車ということですよ」
だいじょうぶ。今日の運転士は腕がいいですから。きまり悪そうに苦笑いを浮かべて言った。
■取材協力:ドイツ観光局
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江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に
裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デ
ジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。



