安倍首相の国連総会演説
https://www.sankei.com/politics/news/180926/plt1809260005-n1.html
議長、ご列席の皆さま、向こう3年、日本のかじ取りを続けることとなった私は、連続6度目となります本討論に、思いを新たに臨みます。
今からの3年、私は、自由貿易体制の強化に向け、努力を惜しみません。
北東アジアから戦後構造を取り除くために、労をいといません。
■自由貿易の旗手として立つ
思いますに、日本国民は、自国の指導者に対し、自由貿易の旗手として立つことを切望しておりました。なぜなら日本自身、戦後、自由で開放された経済体制の申し子として、貿易の利益に浴し、めざましく成長した国だったからです。
自由貿易体制は、アジア諸国を順次離陸させ、各国に中産階級を育てました。背後には、1980年代以降、日本からこれら諸国に向かった大規模な直接投資がありました。
みな、国際経済システムが、ルールに基づき、自由でオープンなものだったおかげです。
このシステムに最も恩恵を受けた国・日本が、その保全と強化のため立たずして、他の誰が立つのを待てというのでしょう。日本の責任は、重大です。
それは、日本の歴史に根差した使命でもあります。
日本には、近代日本の産業化を支えた石炭のほか、めぼしい資源はありませんでした。しかし戦後の日本は、貿易の恵みに身をゆだねたところ、資源が乏しくても、奇跡といわれた成長を実現できたのです。
貿易と成長の間の、今や常識と化した法則を、最初に身をもって証明した国が日本です。日本は、貿易の恵みを、世界に及ぼす使命を負っています。
私は、時に国内の激しい議論を乗り越えて、自由貿易の旗を振りました。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)11が成り、日本が国会でいち早くこれを承認できたことは、私にとって無上の喜びです。また世界史に特筆される規模と範囲の、日EU(欧州連合)・EPA(経済連携協定)も成立させました。
とはいえ、満足してなどいられません。私は自らにドライブをかけ、さらに遠方を目指します。
WTO(世界貿易機関)へのコミットメントはもちろん、東アジアに巨大な自由貿易圏を生むRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉に、私は全力を注ぎます。
そして何よりも、米国との新貿易協議、いわゆるFFRを重んじます。
日米両国は、長年、世界の中で自由貿易体制を引っ張ってきました。その成熟の帰結として、日本が米国に対し行ってきた直接投資は、英国に次いで多い、85万6000人の雇用を全米各州に生み出しました。
いまや日本から米国に輸出される自動車が174万台なのに対し、米国国内で生産される日本車は、377万台です。
それこそウィンウィン。そんな関係を、私は日米の間で続けていきたいと思っています。
米国とだけではありません。日本は自由貿易の旗のもと、どの国、どの地域とも、互いが、互いの力になる関係を築いてまいりました。これからも、そうしていきましょう。
アジア・太平洋からインド洋に至る広い地域に、今世紀にふさわしい自由で公正な経済のルールを広げるには、システムを作り、またそこから多大の恩恵を受けてきた国が、すなわち日本のような国こそが、これを主導しなくてはならない。私の、信念であります。