新型コロナ「影響不透明」収まらぬ不安
3/4(水) 12:01配信
米連邦準備制度理事会(FRB)本部=米ワシントンで2016年2月、清水憲司撮影
米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0・5%引き下げて年1・0~1・25%にすると決定した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化リスクを緩和し、金融市場の混乱を収拾しようとしたが、投資家の不安は収まらず、3日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は大幅反落。前日比785・91ドル安の2万5917・41ドルで取引を終えた。
FRBの利下げ決定が発表された直後、ダウは前日終値比300ドル超まで上昇した。しかし、FRBのパウエル議長が会合後の記者会見で、主要中央銀行による協調利下げの可能性について「各国の判断次第」と述べたことで失望売りが広がり、500ドル超の値下がりに転じた。その後も米国で新型コロナウイルスの感染拡大が報じられる中、ほぼ全面安の展開となり、下げ幅を広げた。
臨時会合の直前には、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が緊急の電話協議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大による経済下振れリスクに対して「すべての適切な政策手段を用いる」との声明を発表した。FRBは17、18日の定例会合を待たずに、G7の声明に即応する形で緊急利下げを全会一致で決定した。FRBが定例会合以外で金融緩和を決めたのは、リーマン・ショック後の2008年10月以来。
パウエル氏は会合後の会見で「米経済は好調さを維持しており、金融市場も正常」との認識を示す一方、「最近数週間で状況が大きく変わった。米国で新型コロナウイルスの流行が始まり、経済悪化リスクが生じていると判断した」と説明した。具体的なリスクとして、旅行・観光産業の需要低迷や、世界的なサプライチェーン(部品供給網)の停滞を挙げ、「新型コロナウイルスは当分の間、国内外の経済活動の重しになる」との見方を示した。
また、「新型コロナウイルスの影響は不透明で、状況は依然として流動的だ」とも指摘し、今後数週間から数カ月間にわたって状況を注視した上で「米経済を支えるため適切に行動する」と述べ、更なる追加緩和も辞さない考えを示した。
新型コロナウイルスの経済への悪影響は、中国などの工場生産停滞によるサプライチェーンの混乱や、商業施設や観光地の客数減が主であり、金融市場では「FRBの利下げ効果は限定的」との見方が強い。パウエル氏は「利下げによって感染率は低下せず、サプライチェーンの混乱は改善されないことは承知している」と認めつつ、「医療や財政を含め多面的な対応が必要だ」と指摘。FRBの利下げは、金融市場の機能低下を回避し、家計や企業の景況感を支えることで「米経済を確実に後押しする」と利下げ判断の正当性を強調した。
感染拡大の影響が不透明な中で、投資家のリスク回避の動きは止まらず、安全資産とされる米国債に資金が流入。長期金利の指標とされる10年物米国債の利回りは1%を下回り、史上最低水準を更新した。市場では「FRBの金融緩和にかかわらず、新型コロナウイルスの影響が不透明なうちは株などリスク資産を買いづらい。当面は不安定な相場が続く」(投資ファンド)との声が出ている。【ワシントン中井正裕】
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