潜水できない潜水艦は燃料電池が欠陥製品、
韓国の潜水艦は、ドイツの独HDW社が設計した「214級」(約1800トン)をライセンス生産という形で建造、運用している。18年までに計9隻を建造する計画で、1番艦の「孫元一」は06年に進水し、現在4番艦まで完成している。しかし厳密に言えば、一隻も“完成していない”ともいえる状態だ。
韓国では新型艦の完成や運用開始などことあるごとにその優秀性をアピールし、マスコミと一体となって北朝鮮へのプロパガンダよろしく勇ましい活躍ぶりを宣伝するのが通例だ。しかし1番艦の孫元一は進水後、動静が聞かれなくなり、表舞台から消えてしまった。
潜水艦といえば「海の忍者」、孫元一も秘密の任務を遂行中-と見る向きもあったが、実はこっそり工場に逆戻りしていた。
朝鮮日報(電子版)など現地マスコミによると、試験的に運用したところ、スクリュー軸からHDW社の設計値を上回る騒音が発生した。敵艦からすれば、スクリューや動力の音は重要な探知材料となり、潜水艦にとっては致命的。このため推進軸を交換するという大がかりな修理を行った。それでも騒音は収まらず、実戦運用どころか近海を試験走行するだけだった。
11年4月、再び修理に入ったものの解決方法が見つからず、結局20カ月以上もの間、工場内で放置されていたことが明らかになった。
この間、2番艦の「鄭地」が07年6月、3番艦の「安重根」が08年6月に進水。1番艦の問題を解決しないまま量産するという常識外の行為がとられたが、その代償は大きかった。
10年春ごろ、新鋭潜水艦3隻全てが運行停止になっていたことを朝鮮日報(電子版)など現地マスコミが明らかにした。問題となったのは艦橋と甲板を接続するボルトだ。
1番艦は、航海中にボルトが緩む事故が06から09年までの間に6回発生。さらにボルトが折れたり緩んだりする事故が2年間に2番艦で6回、3番艦で3回発生。原因は当初、韓国製のボルトの強度不足とされたが、ボルトを本家ドイツのHDW社の規格に沿う物と交換しても「自然に緩む」という不可解な状況が解決できなかった。
結局、韓国の技術者では問題を解決できず、ドイツHDW社の技術者が韓国へ出向いて調査。その結果、欠陥はボルトだけでなく、接続部本体の強度も不足していたことが判明。半年以上かけて金属板で周囲の補強を行い、ようやく解決したという。
「孫元一級潜水艦は、浮上することなく数週間の作戦行動が可能」-。海軍のこんな主張が真っ赤な嘘だったことが昨年10月、明らかになった。韓国SBSテレビなどによると、原因は動力を供給する燃料電池の不良にあった。
潜水艦が最も脆弱なのは浮上した時。原子力潜水艦は浮上の必要がないが、ディーゼルなど通常動力の潜水艦は酸素を取り込むため、シュノーケル(空気取り入れ筒)を水面上に出せる浅深度まで浮上する必要がある。
しかし近年は、こうした大気に依存せず、長期の潜行を可能にする非大気依存推進(AIP)という技術が主流だ。中でも燃料電池を用いたAIPは水素と酸素から電気を生み出すもので、民間でもクリーンエネルギーとして注目されている。
韓国の潜水艦もAIPを採用した。しかし連続潜行期間は、軍が主張する「数週間」をはるかに下回る「数日」だった。燃料電池が欠陥品だったのが原因だ。しかも3隻の燃料電池は軍に納入前から93回も故障し、納入後も102回停止していたことが国政監査で明らかになった。