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SonyEricsson Xperia X10 Review SIMカード篇 [Sony・SonyEricsson] [編集]
SonyEricsson Xperia X10i レビュー、今日はSIMカード篇をお送りします。

先月総務省が突如として関係各所からヒアリングを行って以来、一般的な話題としても盛り上がっている『日本の携帯電話のSIMロック問題』ですが、中には「いいからiPhoneをドコモで使えるようにしろ」と問題を矮小化する人々もいて、どうにも議論が噛み合わない状態です(ていうか当の総務副大臣自身がただのソフトバンクいじめを目的としているとしか思えない発言してるし…)。
では日本の携帯電話業界の何が問題なのか。そこらへんの検証を含めて、実際に「SIMフリー」である香港版Xperia X10に各社のSIMをさして行きましょう。
以前XPERIA X1でも検証していますが、auはそもそもW-CDMA/HSPA方式でサービスをしていませんし、EMOBILEはW-CDMA/HSPAでサービスしていても、周波数が日本独特の“バンド9”でXperia X10iは対応していないため(Xperia X10iが対応している周波数はバンド1/4/8)、SIMを認識はしても電波を掴むことはありません。

このように画面上部ステータスバーの電波表示は「圏外」を示す×マークがつきます。
ですので、現状海外で売られているSIMフリーのW-CDMA/HSPA機を日本に持ってきても、結局選べるキャリアはドコモかソフトバンクの2社しかないということになります(当然香港で売られているSIMフリーのiPhoneもそうなる)。


J-PHONEと表示されているのは僕が持っている旧Vodafone時代の赤色SIMをさした時、SoftBankと表示されているのはiPhone用の黒色SIMをさした時のもので、SIMフリー機から見ればどちらも同じ「ソフトバンクのSIM」なので、どちらでも動かすことが可能です(ステータスバーもちゃんと電波を掴んだ状態になってます)。
では、ドコモかソフトバンクのSIMをさしたらそれだけでXperiaがバリバリ使えるか、と言うとそうも行きません。
前回の初期設定篇でもお送りしましたが、SIMをさすとまずはこのような画面が出てきて、その携帯電話会社のインターネット接続サービスとEメールサービスを使うのに必要な設定を、自動で行ってくれるはずなのですが、

Xperia X10の自動設定機能は日本の電話会社には対応していないため、使えるようにするにはこの画面をスキップし、ユーザーが手動で設定を行わなくてはいけません。
なので、SIMをさしただけで何もしないまま使える機能は通話とSMSのみ、ブラウザを立ち上げたりしてインターネットにつなごうとしても、接続先が存在しないため、

このような状態になります(これはドコモのSIMをさした後、何の設定もしないでブラウザを立ち上げたときの画面)。
というわけで、Xperia X10のインターネット接続を可能にするために、これも前回の初期設定篇でお送りした、その電話会社が用意している「アクセスポイント(APN)」の設定情報を、手動で入力すしていくことになります。

(この段階ではXperiaにアクセスポイントが何も設定されてないので、どこにも接続出来ない状態になっている)
ところが、いざアクセスポイント(APN)を新たに設定しようとすると、これだけの設定項目が出てくるので、最初は面食らってしまうかと思いますが、
実際には、アクセスポイント(APN)と言ってもそれほど複雑なものではなく、必要な情報はわずかに3つ。
・APN
・ユーザー名
・パスワード
とにかくネット接続出来るようにするだけなら、これさえ入力すれば完了です。
そして日本の携帯電話業界が抱えている最大の問題点にして、最大のガラパゴス。それは端末にSIMロックをかけていることではなく、このアクセスポイント(APN)の設定情報を公開していないと言うところにあります。
これが海外ではアクセスポイント情報というのはユーザーに公開されているのが当たり前で、
Carrier APN Settings (modmyi.com)
APN Settings for iPhone 3G (The iPhone User Guide)
(上記2つのページはrocaz氏のBlogにて紹介されているもので、一見電話会社が公開しておらずユーザーが情報をかき集めたかのように見えますが、実際はこれらの情報は各社のWebサイトやSIMカードのパッケージに記述されていたりして、正式に公開されているものです。)
ユーザーは自分が手に入れた携帯電話に、これらを入力すれば、それが電話会社から買ったSIMロック機であろうと、メーカーから販売店を通じて買ったSIMフリー機であろうと、全く同じか、それほど差のない通信料金でネット接続を行えるようになっているのです。
一応正確に言うと、日本の各キャリアも全くアクセスポイント情報を公開していないわけではなく、
・ドコモ(mopera U-速度上限7.2Mbps/パケット料金上限13,650円)
APN:mopera.net
ユーザー名:ユーザーがmoperaUで取得したユーザーID
パスワード:ユーザーがmoperaUで取得したパスワード
・ドコモ(mopera U-速度上限128Kbps/パケット料金上限5,985円)
APN:mpr.ex-pkt.net
ユーザー名:ユーザーがmoperaUで取得したユーザーID
パスワード:ユーザーがmoperaUで取得したパスワード
・ソフトバンク(アクセスインターネット-速度上限7.2Mbps/パケット料金上限無し)
APN:softbank
ユーザー名:ai@softbank
パスワード:softbank
・日本通信(b-mobile SIM U300-速度上限300Kbps/パケット料金上限2,980円より)
APN: dm.jplat.net
ユーザー名:bmobile@U300
パスワード:bmobile
・イーモバイル(全契約共通-速度上限7.2Mbps/パケット上限4,980円より)
APN: emb.ne.jp
ユーザー名:em
パスワード:em
このようにPC接続用のアクセスポイント情報は公開されていたりします。
しかしドコモにせよソフトバンクにせよ、ユーザーが最も利用したいであろう「速度7.2Mbpsでパケット上限金額5,985円」になるアクセスポイント情報は、ドコモやソフトバンクが自社のブランドで売る、自社端末にブラックボックス状態で入れ込んでおり、外部には一切公開されていません。
なので僕のXperia X10iとドコモのSO-01B、中身はほとんど同じものなのに、ドコモブランド品を買ったユーザーは5,985円で使えて、ソニエリブランド品を調達してきた僕は3倍近い13,650円で使うか、128Kbpsに落として使うしかないのです。
これはSIMフリーのiPhoneでも同じことで、仮に総務省の命令でソフトバンク版のiPhoneがSIMロック解除してドコモで使えるようになっても、ドコモ側が(旧Bizホーダイ用の)アクセスポイント情報を公開しないかぎり、やっぱりユーザーは13,650円で使うか、128Kbpsに落として使うしかありません。
この現実を無視してSIMフリーを推し進めて何の意味があるでしょう。
SIMフリーを義務づけてメーカーが自社で携帯電話端末を販売したところで、月のパケット代がキャリアブランド品の3倍近いのでは誰も使うわけがなく、「ほらユーザーはSIMフリー端末なんて求めてないやん」と、結局キャリアの端末支配が続くことになりかねないのです。
総務省が今強制すべきなのは「端末のSIMロック解除」=「SIMフリー」ではなく、キャリアが自社端末にしかネットワークを開放していない「ネットワークロックの解除」=「ネットワークフリー」を推進して、SIMロック/フリー、キャリア販売端末/メーカー販売端末を、差別ない料金で利用できるようにすることです。
今夜もジャーナリストや関係者(ソフトバンクの松本副社長や元ドコモの夏野氏)が集まって、SIMロック解除の是非を討論するようですが、SIMフリー賛成・反対かかわらず、この問題で端末SIMフリー化の話ばかりに終始して、ネットワークフリーの話に一切触れないような人は、問題の本質を理解していないただの野次馬か、ネットワークフリーの問題を隠蔽したい立場の人がポジショントークで語っているだけだと認定したほうが良いです。
それにしても、何故日本だけアクセスポイント情報が公開されていないのか、その理由は表向き、キャリアのコントロール下にない端末が入ってくるとどのような使われ方をするか分からず、そのユーザーが帯域を占有して他のユーザーに迷惑がかかるから、という「ユーザー保護」というのが大義名分になっているようですが、それは非常識な使い方をするユーザーの帯域制限を厳しくすれば、十分対策可能なはず。結局、もう一つ裏の理由として「端末で差別化出来ないと、電話会社同士ただの土管屋競争になって利益が出せなくなる。端末は自社のコントロール下に置いておきたい。」というのもあるのは間違いないでしょう。
要は「通信料金競争はしたくない」ということです。
パケット料金とか事実上の横並びになっているのに、総務省も公正取引委員会も何も言わないで、SIMロックなどと言う別のところで大騒ぎする、どうにもこの国の通信政策のお粗末さを感じます。
さて、ここまではインターネット接続のネットワークロック問題でしたが、ソフトバンクにはもう一つのネットワークロック問題があります。
それが「MMS(写真付メールや長文メール)」のネットワークロック問題。
先ほどのアクセスポイントの設定項目の中に、「MMSC」「MMSプロキシ」「MMSポート」「MCC」「MNC」といったものがありますが、これらはソフトバンクが提供しているMMSのメールサーバにアクセスするために必要な設定です。
これらの設定も海外では、SIMをさしたら自動で設定される(もしくはSMSで設定ファイルが自動送信されてきてそれを実行する)か、キャリア側が設定情報を公開してユーザーが手動で設定するのが常識ですが、これまた世界の常識は日本の非常識でソフトバンクはこれらの情報を一切公開していません。
なのでSIMをさしたら自動で動くSMSだと、iPhone⇔ソフトバンクSIMをさしたXperia X10の間でメールできますが、

写真を添付したMMSになると、

XperiaがソフトバンクのMMSサーバにアクセスできないため、メールが来たことまではわかっても…

本文や写真を受け取ることが出来ません。

続いて、VAIOからEメールとしてXperia X10に長文メールを送信してみますが、
やはりMMS扱いになるので、先ほどのiPhoneからの写真付メールと一緒で、メールが来たことまではわかっても(メール到着通知はSMSで行われるため)、本文を読み出すことが出来ません。

(しかしこのエラーメッセージ、件名と送信者名の配置が逆だと思うのだが、これってバグ?『テストさんからのメッセージ「○○○@akoustam.net」をダウンロードできませんでした。』って何だよ(笑))
ちなみにSMS扱いであればどんな長文でも受け取れるので、iPhone⇔ソフトバンクSIMをさしたXperia X10の間で長文メールをやり取りすることは可能です。実際、ちょうどソフトバンクから先月の料金通知がやってきましたが、お客様センター157からのSMSなので全文受信できています。

なおこのソフトバンクのMMS設定情報、ネットでは色々と解析されて実はその設定値は判明しているのですが、サーバにアクセスは出来てもやはり読み出しが出来ません。これは設定情報を隠しているだけでなく、ソフトバンクがアクセスしてきた端末のUser Agentを読み取って、ソフトバンク端末でない場合は読み出せないようにしているから。
いやはや自社ブランド端末じゃないとパケット定額も、メールサーバへの接続も(標準規格に則ってる端末なのに!)拒否するとは、念の入ったネットワークロックだことで…よっぽど自社端末以外は使って欲しくないらしいです。
以上SIMカード篇をお送りしてきましたが、こうしてSIMフリー端末を手に入れるたびに、日本のガラパゴスの根源は、「端末のSIMロック」ではなく「ネットワークのアクセスロック」であることを強く感じます。
「SIMフリーになると端末が値上げになる」
「SIMフリーだと設定は全て手動でやらなくてはいけない」
「SIMフリーではパケット定額実現できない」
「SIMフリーになると盗難・密輸などの犯罪が激増する」
「SIMロックはガラパゴスの根源」
「海外ではSIMフリーが主流」
「SIMフリーにすればメーカーの国際競争力は上がる」
等々、今回の総務省のヒアリングに伴って、あらゆる流言蜚語が飛び交っているSIMフリー問題。でもSIMロック云々以前に、まず改善する必要があるのは「キャリアのネットワークアクセスロック解除」=「ネットワークフリー」だという事実を、ユーザー側が共有していかないと、問題の解決にはつながらないのではないかと思います。端末のSIMフリー化は、まずネットワークフリーやSMSのキャリア間相互接続化など、ネットワーク側の下地を整えてから、一番最後に実現させるべきものなのですから。
P.S. なにやらドコモ版のSO-01BはSIMカードがささっていないと、キーロック画面が表示されず、HOME画面に遷移できないので、全機能が使えないという仕様になっているそうで、Xperia X10ではどうなのか試してみました。

え~と、普通にキーロック解除画面→HOME画面と立ち上がって、全機能が使えているんですが(笑)ドコモの指示なのか、ソニエリのポリシーなのか、なんでSO-01Bにだけそんな余計な制限つけたんでしょうね。
まぁフライトモードを活用すると抜けられるざるみたいな制限なんですけど。
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