朝日も珍しく批判的だね...。 ^ ^
朝日新聞
ウイグル騒乱―¥弾圧しても安定はない
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチは、「美しい牧場」という意味のシルクロードのオアシス都市だ。ここで起きた大規模な騒乱で、死者は150人を超え、1千人以上がけがをしたが、まだ完全には収まっていない。
背景にはイスラム教徒のウイグル族と多数派の漢族の、根深く鋭い対立がある。建国60年を迎えても、中国当局は民族問題に本腰を入れて取り組んでいない。それどころか結果的に対立をあおっているようにさえ見える。
自治区政府のヌル・ベクリ主席は「海外の者が指揮し、国内の者が行動を起こした事件」と断定。中国メディアも少数民族のウイグル族の暴¥動と位置づけて報道している。漢族の被害が強調されてもいるようだ。
一方、在外のウイグル人組織でつくる「世界ウイグル会議」は、平和的なデモが当局から武力鎮圧を受けたと訴えている。ウイグル族の出稼ぎ労働者が6月に広東省の工場で襲われた事件に、抗議するデモだったという。
双方による宣伝戦のなかで、真相はまだ明らかではない。ただ中国西北端のこの地域で長く続く、民族対立の構¥図が改めて鮮明になった。
この地域は18世紀に当時の清朝に征服され、19世紀に新しい領域という意味の「新疆」と名付けられた。1930年代から40年代にかけては、ウイグル族による「東トルキスタン」建国を目指す独立運動が2度あった。
新中国の新疆ウイグル自治区となってからは、漢族移民が急増した。文化大革命中にはイスラム寺院が破壊されたり、教典が焼却されたりして、ウイグル族は不満を募らせてきた。
自治区は国防のうえで重要な国境地帯にあり、全国土の6分の1を占める。石油や希少金属などの鉱物資源にも恵まれている。中央政府は領土保全を優先するあまり、そこで暮らす人々の心情への配慮を怠ってきた。
1949年には自治区に25万人しかいなかった漢族が、今は800万人を超える。軍人を含めれば最大の民族集団といわれている。ウルムチではすでに漢族が人口の大半を占める。
急激な移民がウイグル族の反発を招くのは自然なことだ。北京五輪で中国に世界の関心が集まった去年も、デモや襲撃事件が相次いだ。
中国共産党は建国前、連邦制や幅広い民族自治を検討したことがあった。しかし権力を握ってからは、統一した中央集権国家が中国にはふさわしい、などの理由を盾に自治を制限してきた。ウイグルでもチベットでも、トップの党委員会書記は漢族が務める。
中国には55の少数民族がいる。その宗教や文化、教育などについて幅広い自治に踏み出す時だ。10月1日にある建国60年の式典に、民族衣装さえ並べればいいというものではない。
http://www.asahi.com/paper/editorial20090708.html?ref=any#Edit2
日本経済新聞
社説2 中国は流血断つ民族政策を(7/8)
中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日、少数民族のウイグル族によるデモが大規模な暴¥動に発展し、中国国営通信社の新華社によれば150人を超す死者と1000人以上の負傷者が出た。ウルムチでは7日、ウイグル族に抗議する漢族住民のデモも起き、夜間外出禁止令が出るなど混乱が続いている。
新疆と同様、チベット族ら少数民族が多数を占めるチベット自治区でも昨年3月、民族問題を背景とする騒乱が起きた。流血事件を断ち切れていない中国共産党政権の民族政策は見直しを迫られている。
ウルムチ暴¥動について地元の当局者は、国外の分裂主義者の扇動による「計画的で組織的な」破壊活動だと断定した。一方、在外ウイグル人組織は「当初は平和的なデモだったのに警官隊の発砲や暴¥行を受けて暴¥徒化した」と指摘し、中国当局を非難している。
当局と在外民族組織の説明が大きく食い違い、真相がわからないという構¥図は昨年のチベット騒乱と似ている。綿密な捜査によるはっきりした証拠を示さずに特定の勢力の陰謀だと決めつけるような共産党政権の対応では、民族問題は解決しない。一方的に情報を流すのでなく、国連など第三者的な機関の調査を受け入れ、真相解明に努めてほしい。
新華社によると、ウルムチ当局は違法な集会の情報を事前にキャッチし警戒していたという。当局は暴¥動に関与した疑いで1400人以上を逮捕し取り調べているが、暴¥動を予¥防できず、市民に事前に警告を出さなかった責任も明確にすべきだ。
今回の暴¥動の引き金は、6月下旬に広東省で起きた漢族との衝突によるウイグル族の死亡事件とされる。だが、根底にあるのは漢族に対するウイグル族の根深い反感だ。漢族の大量移住による経済的な圧迫や、画一的歴史観の押しつけをはじめとする教育・宗教政策への反発などだ。
中国はいまや世界経済の最大のけん引役を期待され、多くの日本企業にとっても重要な市場だ。民族問題が原因で政治・社会情勢が不安定になれば、世界経済を揺さぶりかねない。国際社会は胡錦濤国家主席が掲げる「調和のとれた社会」にふさわしい民族政策を求めている。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090707AS1K0700207072009.html
毎日新聞
社説:新疆自治区暴¥動 民族政策に寛容さ欠く
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで大規模な民族暴¥動が起きた。当局の公表¥した死者数は150人を超え、負傷者は1000人以上。死者数では昨年春のチベット暴¥動を上回る。
暴¥動後、警察が多数のウイグル人を連行したため新たな抗議デモが起きている。一方、漢民族の対抗デモも起き、民族対立の不穏な様相だ。
中国は今年秋に建国60周年を迎える。いまや世界第2位に迫る経済大国に成長した。だが、チベット、ウイグルという建国以来の民族問題をいまだに解決できないのは、民族自治を尊重しようという寛容さに欠けているからではないか。
今回の暴¥動の背景にあるのは、少数民族に対する人権抑圧だろう。主要8カ国首脳会議に出席する胡錦濤国家主席は、国際社会に向かって武力弾圧一辺倒ではない問題解決の道筋を示してもらいたい。
事件の全容はまだ明らかでない。これまでの報道によると、発端は広東省で起きたウイグル人出稼ぎ労働者襲撃事件への抗議行動である。インターネットを使った呼びかけに応じて、ウルムチ市内の公園で抗議集会が開かれた。それを鎮圧しようとした警備当局と衝突になり、暴¥徒化したウイグル人が漢族の通行人を襲い、バスなどに放火したらしい。
昨年、カシュガルで起きた国境警備隊襲撃事件については、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によるテロとされ、イスラム教徒の弾圧監視が行われた。
今回は、亡命ウイグル人で組織する世界ウイグル会議(本部ドイツ)が主導した国際陰謀のせいにしている。だが、人権侵害に対する抗議行動を警備当局が力で抑えつけようとしたのがそもそもの原因ならば、ウイグル人の不満解決なしに治安が回復することはないだろう。
ウルムチはウイグル人の居住地区と漢民族の居住地に分かれている。言語、宗教、生活習慣が違うだけではない。民族の違いによる所得格差が歴然としている。同じことはチベットでも言える。民族自治区域において、その土地の少数民族が貧しく、外来の漢民族が豊かなのは、民族政策に問題があるのではないか。
治安の悪化は、少数民族地域だけではない。中国全土で住民と警察の衝突が増えている。1000人を超えるデモや集会は5月だけで約2万5000件に達し、過去最高記録を更新したという。人権侵害への抗議や労働争議が増えたためだ。
世界が中国の成長力に注目している。中国の成長維持は、社会の安定を維持できるかどうかにかかっている。社会の安定をはかる真の力は武力ではない。寛容な政治である。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090708k0000m070122000c.html
産経新聞
【主張】ウイグル暴¥動 抑圧をやめて格差解消を
2009.7.8 03:10
中国北西部の新疆ウイグル自治区で、少数民族政策に不満をもつウイグル族住民らの抗議デモが大規模な暴¥動に発展した。標的にされた漢族が逆にウイグル族を襲う事態となり、当局の発表¥では死傷者が1200人以上、逮捕者は1500人近くにのぼっている。
昨年3月のチベット騒乱を上回る深刻な民族衝突だ。中国当局は漢族側の被害を強調し、武装警察を動員しているが、これ以上犠牲者を出してはならない。ウイグル族と、当局・漢族の双方に強く自制を求める。
暴¥動は、6月26日に広東省の玩具工場でウイグル族の出稼ぎ労働者2人が漢族に殺害された事件が引き金になった。怒ったウイグル族住民が今月5日、同自治区の区都ウルムチで抗議活動を始め、それが商店やホテル、車への放火と暴¥徒化していったようだ。
中国当局は在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」が暴¥動を扇動したといい、同会議はこれを否定している。どちらが正しいかは速断できないが、秩序を破壊する暴¥力はもちろん、自由な抗議表¥明への武力弾圧もまた、いかなる社会でも許容されない。
今回の暴¥動は、中国の多数派である漢族の圧倒的な「支配」に対する少数民族の反発が根源となっている点で、チベット騒乱と同じ図式である。
新疆ウイグル自治区はもともとイスラム教徒のウイグル族など少数民族の居住地だ。1949年の中華人民共和国成立後は共産党軍が進駐し「中国の一部」とされたが、漢族の支配に抵抗する独立運動は続いている。
中国政府にとっては、天然ガスや石油など豊富な地下資源に恵まれた死活的に重要な領土であり、最近では国家プロジェクト「西部大開発」の対象地域として巨費を投じてきた。
問題は自治区の主要企業の大半が漢族によって経営されるなど、経済発展の恩恵が少数民族に十¥分行き渡っていないことだ。かつては自治区人口の5%にすぎなかった漢族は今や40〜50%を占め、少数民族は言語・文化・宗教の各分野で圧迫された状態にある。
少数民族への公平な富の分配と格差の解消こそが問題解決につながるのではないか。
中国政府はウイグル独立を容認できないだろうが、武力弾圧を続ける限り、国際社会はこれを認めないことを認識すべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090708/chn0907080310002-n1.htm