【社説】世界最低レベルに落ち込んだ韓国の貯蓄率
米紙ワシントン・ポストが30日付紙面に、「財布のひもが緩み、貯蓄が底を突きつつある」という見出しの記事を掲載した。そこで指摘されたのは米国ではな く、韓国の貯蓄率低下の問題だ。「韓国の節約の風潮が、行き過ぎた消費へと変わりつつある。その結果、一般家庭の貯蓄率が急激に低下している」というの だ。実際に韓国の1世帯当たりの平均貯蓄額を見ると、ここ10年で3300ドル(現在のレートで約31万円、以下同じ)から525ドル(約5万円)へと減 少し、個人の可処分所得に対する金融負債の割合も140%まで上昇した。これは世界最大の消費大国、米国を上回る数値だ。
OECD(経済開発協力機構¥)も最近発表¥した報告書で、来年の 韓国での一般家庭の貯蓄率を、加盟国の中で最低レベルの3.2%と予¥想した。17の加盟国平均8.5%に比べて5.3ポイントも低く、1位のスウェーデン (16.3%)と比較するのが恥ずかしく思えるほどだ。一方の米国の貯蓄率は、今年の4.4%から来年は6.5%へ上昇すると予¥想されている。米国だけで なく先進国の多くが、金融危機をきっかけに貯蓄率が2倍あるいは3倍も上昇する傾向を示している。
韓国はアジア通貨危機以前には常に10%から20%台の貯蓄率を記録し、まさに世界1位の貯蓄大国であることを誇りにしてきた。それが今は世界で も最低のレベルに落ち込んでしまっている。もちろん、貯蓄率が高いことは無条件で良いことばかりではない。財布のひもをきつく締めすぎると、輸出や投資と 共に経済を支える民間消費が萎縮してしまうからだ。そのため専門家は、一般的に一人当たりGDP(国内総生産)が1万5000ドル(約142万円)から2 万ドル(約189万円)となる時点を境に、「貯蓄が美徳」の社会から「消費が美徳」の社会に変わらなければならない、と指摘する。
しかし韓国の貯蓄率に関してはそのような一般論が通用しないだけでなく、逆にOECD加盟国の中では最も早いペースで落ち込んでいる。2000年 には10.7%だった個人の貯蓄率が、「クレジットカード不良債権問題」が表¥面化した02年には2.2%にまで落ち込み、その後は3%から高いときでも 5%前後と低迷している。米国、日本、ドイツは一人当たり国民所得が2万ドルを突破した当時、個人の貯蓄率はそれぞれ7.5%、9.5%、13%だった。 昨年の一人当たり国民所得が1万9106ドル(約181万円)と、2万ドルのハードルを完全に越え切れていない韓国の貯蓄率が下がるという現象は、世界的 に見てもまさに前例のないことだ。
貯蓄率低下の原因は、低成長や雇用条件の悪化が所得増加の足を引っ張ったことと同時に、金の使い道がそれ以上に速いペースで増えてしまったことに ある。過去10年間の所得増加率は平均で4.2%だったが、消費の増加率は6.9%だった。海外旅行や豪華ショッピングなどの非合理的かつ行き過ぎた消費 だけが原因ではない。年金や保険などの租税に準ずる支出の増加や、GDPの6%に達する私教育費用、収入に比べてあまりにも高い住宅費用など、韓国の風土 では減らすこと自体が難しくまた選択の余地がないような支出も、貯蓄率を引き下げる要因となっている。また現在の日本と同様、高齢化がさらに深刻化する と、貯蓄率はさらに低下するだろう。
貯蓄率の急激な低下は、将来における投資や消費の余力が失われることをも意味する。今は所得3万ドル(約284万円)というスローガンがまぼろし のように消え去りそうな低成長の時代だ。その上、貯蓄率までもが急激に低下してしまえば、韓国経済にとってはまさに成長の潜在力までも奪い去られることを 意味する。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版