地元の人たちが見守る中、発電停止に伴う放流が始まった県営荒瀬ダム=31日午後0時20分すぎ、八代市坂本町(小山真史)
蒲島郁夫知事が県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の発電継続を断念したことを受け、県企業局は現行水利権が満了する31日、同ダムによる発電を停止した。存廃をめぐり揺れ続けてきた同ダムは、55年余にわたった発電の歴史に幕を閉じ、全国初のダム撤去-「廃ダム」へ向けて動きだした。発電停止に先立ち、同日午前11時半から、ダム本体の八つの水門のうち、中央の2門を相次いで開放。ゲートが徐々に上昇し、その下から、ダム湖の水が下流へ勢いよく流れ出した。同ダムから取水する藤本発電所では午後1時過ぎ、タービンが回る音が消え、発電量を示すメーターの針がゼロを指し、担当者が発電停止を確認した。
県企業局は、ダム湖の水位を1日約70センチずつ低下させ、11日間かけてダムの基底部まで下げる方針。
ダムえん堤脇でゲート開放を見守った近くの山下安男さん(67)は「球磨川再生への第一歩。一日も早く以前のきれいな川に戻ってほしい」と話した。
県内の電力供給の一翼を担ってきた荒瀬ダムだが、河川環境が悪化。2002年、潮谷義子前知事が撤去を表明した。ところが蒲島知事は08年11月、財政難などを理由に存続へ方針転換。しかし、地元の理解が得られず、今年2月、方針を再転換し、12年4月からの撤去を表明した。
その際、撤去資金確保のため発電を続けたいとして水利権の2年間延長を打ち出したが、球磨川漁協や地元住民の反発は強く、蒲島知事は今月24日、水利権延長の断念を表明した。(野田一春)